子供心を忘れたくても忘れられないゲームオタクの日常

カルタグラ ~魂ノ苦悩~

2016.02.06 (Sat)
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終戦から6年後の東京を世界観とするミステリーADV。
上野を舞台に繰り広げられる猟奇サスペンス物で、
キャラのかけ合いは明るいものが多いが、
根底にはシリアスで重苦しい雰囲気が漂っており、
常に緊迫感がともなっている内容となっている。
ちなみに、本作はネタバレ抜きでのレビューは難しかったので
申し訳ないが結構なネタバレ込みで書いていくので注意。

主人公の高城秋五は遊郭に居候させてもらっているしがない探偵。
若い女性だけを狙った上野連続バラバラ事件を
警察官時代のかつての上司が担当することになり、
元から彼が頼まれていた仕事を秋五が引き受けることになった。
仕事内容は逗子の名家である上月家の息女の失踪事件。
その捜索対象に驚く秋五、なぜなら彼女はかつての恋人であり、
出征の際に別れたきりになっていた盲目の女性だった。
<タグ>ゲームレビュー 評価 攻略
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<タグ>新堀雄一
逗子に到着すると、彼女と瓜二つの双子の妹で、
上野で舞台女優をしている上月和菜に出迎えられる。
姉とは対照的に天真爛漫で屈託の無い彼女に戸惑いつつ、
秋五は和菜から姉の捜索を懇願される。

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しかし、依頼主である父親によると由良は既に死んでいると言う。
ようは和菜の諦めが付けばそれで完了する建て前上の依頼だった。
この相反する選択と由良の存在を胸に抱えつつ、
上野で和菜に似た人物が目撃されたという情報を頼りに、
和菜と共に上野に戻り、その人物が由良なのか調べることにした。

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システム的には探偵業という設定から、
マルチシナリオからの個別エンド形式を彷彿とさせるが、
そのほとんどがバッドエンド言うかゲームオーバー。
推理や謎解き要素は薄く、登場人物からの情報を整理しつつ、
秋五が運命に巻き込まれていくといった感じ。
随所に主人公以外の人物の視点に切り替わり、
犯人の状況や心情までも把握できる構成も面白い。

ヒロインの選択はギャルゲーでは当たり前のことだが、
「どのヒロインを選ぶべきなのか」で悩まず、
「選択肢のどれが正解か」で悩まさせられる。
とりあえずトゥルーエンドを目指すなら
ホラー調の曲で不安を煽る親父のたこ焼きを買っておけみたいな。
この荒田大作は他のInnocent Grey作品にも登場している。
ツンデレ親父かわいいよ親父(*´Д`)

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…結局、目当てのヒロインの好感度が高くなるような選択をしても、
結ばれてハッピーエンドという展開は非常に少ない。
むしろ殺されるためだけに登場するようなヒロインまでいる罠。
更にPC版では真犯人に殺される条件を満たしていながら、
何故か標的から外されたヒロインまで殺される分岐が追加され、
もはやマルチバッドエンドの様相を呈している。

本作は序盤から壮大なネタバレをかましてるものの、
当然、事件の全容はトゥルーエンドでしか分からない。
選択肢が多く、何により分岐するかも曖昧で、
一度とあるイベントを起こしてからクリアしないと
トゥルーエンドを迎えられない仕様な上、
早送りでもヒロイン達の死亡イベントを見せられるのは疲労を伴う。
…てか、トゥルーエンドも明るい未来が見えません(´;ω;`)

被害者の中には主人公の旧知の仲ということで、
推理ドラマや漫画とかのいわゆるレギュラーキャラが
殺されてしまうような鬱展開の溢れる作品だと感じた。
この手のジャンルって大抵殺されるのは、
その事件で知り合った人物というのが恒例なので。
しかも被害者には何の落ち度も無いという救えなさ…
俺みたいに普段から鬱っぽい人はプレイしない方が良い(おい)

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そして、主人公である秋五の設定の生かしきれなさも歯がゆい。
兵役のある元警察官で、兵士時代は隊で一番の狙撃手で、
警察官時代は汚職を憎み犯罪者に容赦しない熱血タイプという、
実に頼もしい経歴の持ち主なのだが、
探偵となり遊郭住まいのヒモになってから腑抜けたのだろうか?
戦闘力や注意力は一般人とさして変わらない描写ばかり。
頭脳タイプみたいなことを語っているが妹の七七に遠く及ばず。
一応、犯人(真犯人ではない)を探偵らしく不敵に尋問する場面や
真犯人に向けての発砲の有無という見せ場はあるが…

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本作の主人公、、、の実妹でラスボスキラーの高城七七。
厨二病のボクっ娘で高慢かつ狡猾、カニバリスト疑惑あり。
兄を性的な意味で愛しているサイコヒロイン。
シスプリをプレイしている変態の俺は全然大丈夫なのだが、
常に秋五より一足早く事件の真相にたどり着いていて、
彼女がいなかったら事件は解決しないであろう展開の方が気になる。
…いいのか?

総評すると、主人公が色々な意味で弱いものの、
シナリオ構成と演出が秀逸で、
一連の事件の犯人と思われた人物の逮捕後も
二転、三転する怒涛の展開は十分引き込む力があると思う。
また、和風サイコミステリーADVと銘打っているため、
オカルト要素を全面に押し出す怪奇譚かと思いきや、
その手の奇跡やご都合主義的な誤魔化しは無く、
事件に対する疑問や伏線もしっかり回収されていている。
設定の多くを身近に感じることは無いだろうが(あったら怖いよ)
ある程度のギャルゲー描写や避けられないヒロイン達の死を
妥協できれば上質のミステリーADVだと思う。

グラフィック
音楽
システム
熱中度
満足度
総合評価
3
4
2
4
4
69
(※グラフィックと音楽の評価はハードにより異なります)